2010年9月8日水曜日

今年の研究紹介(詳細編 その5)

狭い空間を通過できる自律誘導無人飛行機の研究


担当: 戸田

近年無人機は,監視および観測などに広く活用されています.本研究では狭い空間を通過できる無人飛行機を提案します. 全幅1.1[m]の機体を製作し,1[m]狭い空間の入口まで,ドップラーレーダーを用いて誘導します. スパンより狭い空間を通り抜けるために,バンク角90[deg]を維持したまま横滑りを大きくとり,高度を保つ必要があります.この概念図を図1,2に示します.


1.狭い空間を通り抜けるイメージ


2. 機体を浮かせる力

全長は1540[mm],全幅は1100[mm],重量は0.80[kgf]です。図3三面図を示しま.



3.機体三面図

胴体についている大きな板が,横滑り状態で大きな揚力を発生させ,機体軸を斜めにすることで推力も機体を持ち上げる力になります.板と推力による力の割合は3:2くらいです。板がなければ機体を斜めにしたまま高度を保つことができません.シミュレーションで高度を維持できることが確認できました.今後ドップラーレーダー,機体の製作に移ります.

2010年9月4日土曜日

今年の研究紹介(詳細編 その4)

小型無人VTOL機の開発

研究者:はたべ


研究目的
災害発生時の救援活動支援などでの運用を想定した小型無人機を開発する.近年,小型無人機は軍事用の偵察機や農薬散布用のヘリコプタなど,さまざまな用途で実用化が進んでいる.現在,それらの実用化されている機体の形状として固定翼機型やヘリコプタ型のものがあるが,固定翼機型の機体はその大きさに合わせてある程度の滑走路が必要であり,ヘリコプタ型の機体は離陸場所を選ばないものの,水平飛行速度に限界がある.
本研究では離陸場所を選ばず,かつ現場へいち早く到着することができる機体となるようにホバリングおよびVTOLが可能な固定翼機の実現を目指す.ホバリングが可能である固定翼機を実現することにより,ヘリのように狭い範囲で離陸が可能になるうえ,固定翼機と同等の水平飛行速度を確保できるものと思われる.ホバリング時の位置および姿勢制御の方法として,ベクターノズルによる推力の方向操作を採用する.




2010年9月3日金曜日

今年の研究紹介(詳細編 その3)


空間識失調になったときの
水平飛行復帰ボタンの作成

こんにちは。大崎()です。今回は僕の研究について紹介したいと思います。

 僕の行っている研究は「空間識失調になったときの水平飛行復帰ボタン作成」というものです。
 空間識失調について、僕の研究では空間識失調に陥った後について扱うので原因や原理の説明はWikipediaに譲ります。ここでは「視界が奪われると平衡感覚までも喪失する現象」「いつどこで誰に起こるかわからないので防ぎようがない」程度に覚えておいてください。

もし空間識失調になった場合の現在の対処法について説明します。それは…
「自分の勘を信じるな!計器を信じろ!」
精神論でゴリ押す感じでしょうか?筋肉モリモリマッチョマンじゃない僕にとっては信用できない理論です。

ここで「空間識失調になったと自覚したときに、ボタンを押すだけで水平飛行をしてくれる便利で安全な装置を作ろう」ということを思いつくわけです。
実際にどういう装置を作るのか図1と図2で説明します。この図1が装置を作動させる流れです。ここで「なんで全自動にしないのだろうか?」という疑問がわいてくるかもしれません。全自動にすると、空港でのアプローチや空中衝突防止装置に従って操作しているときに勝手に動いたら…危険な安全装置という矛盾したものになります。



1 装置を作動させる流れ
装置についての操作説明は図2になります。無線を使う理由は単純にラジコンに人を乗せることが不可能だからです。

2 研究用の装置概略

2010年9月1日水曜日

今年の研究紹介(詳細編 その2)

最適ルートで積乱雲を回避する研究

院1年の林です.

●研究の目的
環境への配慮と燃料の高騰を受けて,旅客機の燃料消費量を少なくしなければならなくなってきている.その一つの手段として,効率のよい飛行ルートを計算により選定するという試みが,以前からいくつもおこなわれてきた.
しかしそれらが有効であるためには,晴天でなければならないということが条件であった.航空機が置かれた状況から,リアルタイムで計算することにより,常に最適なルートを選定するということもおこなわれていない.
本研究では,最適ルート選定に関わる基礎的な部分について調査・検討をおこなう.また実際に数値計算をおこなうことで,基本的なシステムの構築もおこなう.

●研究の必要性
現在の航空機は,航路上に想定外の積乱雲などが発生した際に,パイロットの判断により回避している.しかし,これではパイロットの経験値によって大きく左右される.また避けなければならない積乱雲などが1つなど,天候が単純なものならば,容易に想像し,最適と思われるルートで回避することができる.
もしFig. 1のように複雑なケースならば,想像により適切に回避することが難しくなってくる.偏西風のなかを飛行中に複数の積乱雲が,それぞれ異なる速度ベクトルを持っている.このような場合は,想像により今後の動きを予測し,回避することが困難となる.このような場合に有効な制御システムの開発が必要だと考えたためである.


Fig. 1 In case of a complex event

っとここまでが,研究の最終的な目標になります.

この研究は,学部4年の時からの継続のテーマです.学部の時は機体の運動計算から最適ルートの選定までを,オリジナルのプログラムで作っていましたが,うまくいきませんでした(>_<) そのため,現在では機体の計算を本研究室の教授が作成しているKMAPを使って.おこなう方針に変更しました(やはり教授の作られたものにはかないませんでした).

事実上,新しく始めた研究と変わらなくなったので,垂直方向(高さと水平直線距離)のみの最適なルートを計算する段階をおこなっています(実際の飛行機がこんな運動をすることはないですが,簡単のためです).今は手作業でしか最短ルートを見つけることができていないので,それを自動化することが今の目標です.