2010年9月1日水曜日

今年の研究紹介(詳細編 その2)

最適ルートで積乱雲を回避する研究

院1年の林です.

●研究の目的
環境への配慮と燃料の高騰を受けて,旅客機の燃料消費量を少なくしなければならなくなってきている.その一つの手段として,効率のよい飛行ルートを計算により選定するという試みが,以前からいくつもおこなわれてきた.
しかしそれらが有効であるためには,晴天でなければならないということが条件であった.航空機が置かれた状況から,リアルタイムで計算することにより,常に最適なルートを選定するということもおこなわれていない.
本研究では,最適ルート選定に関わる基礎的な部分について調査・検討をおこなう.また実際に数値計算をおこなうことで,基本的なシステムの構築もおこなう.

●研究の必要性
現在の航空機は,航路上に想定外の積乱雲などが発生した際に,パイロットの判断により回避している.しかし,これではパイロットの経験値によって大きく左右される.また避けなければならない積乱雲などが1つなど,天候が単純なものならば,容易に想像し,最適と思われるルートで回避することができる.
もしFig. 1のように複雑なケースならば,想像により適切に回避することが難しくなってくる.偏西風のなかを飛行中に複数の積乱雲が,それぞれ異なる速度ベクトルを持っている.このような場合は,想像により今後の動きを予測し,回避することが困難となる.このような場合に有効な制御システムの開発が必要だと考えたためである.


Fig. 1 In case of a complex event

っとここまでが,研究の最終的な目標になります.

この研究は,学部4年の時からの継続のテーマです.学部の時は機体の運動計算から最適ルートの選定までを,オリジナルのプログラムで作っていましたが,うまくいきませんでした(>_<) そのため,現在では機体の計算を本研究室の教授が作成しているKMAPを使って.おこなう方針に変更しました(やはり教授の作られたものにはかないませんでした).

事実上,新しく始めた研究と変わらなくなったので,垂直方向(高さと水平直線距離)のみの最適なルートを計算する段階をおこなっています(実際の飛行機がこんな運動をすることはないですが,簡単のためです).今は手作業でしか最短ルートを見つけることができていないので,それを自動化することが今の目標です.

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